実はワタクシ、9月10日(月)~9月28日(金)の3週間、母校で教育実習に行って参りました。
そう。今僕は教員免許を取りに行っているんです!
なぜかって?
それにはいくつか理由がありますが、正直に言うと最初はあまり深く考えていませんでした。
ただ教員免許があれば、自分の活躍できる場が広がるかなという漠然としたモチベーションが最初だったのかもしれません。
一番はじめは、いつも不登校や引きこもりの子についての勉強会「浜松カウンセリング学習会(
http://counseling.hamazo.tv/)」がきっかけでした。そこに来られているある高校の先生があるとき「飯尾くん、非常勤で教えたりしないの?」と僕に尋ねてきました。僕は教員免許を持っていないのでできないと伝えると、先生は「教員免許、取ってくればいいじゃん。意外とすぐ取れるらしいよ。」と僕に言いました。
そっか。ちょっと調べてみようかな。なんて思って通信教育を中心に調べ始めました。
きっかけといえばそれがきっかけでした。
調べてみると、幸い僕は名古屋の大学に行ったので、通信教育はやっていないけど母校に通えば教員免許は1~2年で取得可能だということが分かりました。名古屋ならちょっと無理をすればできなくもないな、と。
そんな折、ECLAにはひとり進路に悩む高校3年生のKくんがいました。
Kくんは将来、学校の先生になりたいので教育学部に進学を希望していましたが、Kくんのお父様は歯医者さんということでご家族はKくんに歯学部に進んでほしいと考えていました。ご両親とKくんの話し合いの末、歯学部は1大学、あとは教育学部またはそれに準ずる学部の大学を受験することを許されました。
Kくんの受験する歯学部はとても合格しやすい大学で、Kくんは早々にその歯学部の合格をもら(ってしま)いました。ところが教員を目指したいKくんにしてみたら、残りの大学に合格しなければ歯医者さんにならなければならない。Kくんはそれからというもの、とても一生懸命勉強をしました。手に取るように成績が伸びていきました。
そしてついにKくんは某大学の外国語学部英米語学科に合格しました。
卒業前、Kくんはお母さんと一緒に合格のお礼にECLAに来てくれました。しかしKくんは泣きはらしたような顔で斜め下をうつろな目で眺めていたのを覚えています。そしてお母さんの口から聞こえたのは「合格した歯学部に進学します」という言葉でした。
僕も正直びっくりしました。あんなに勉強がんばったのに。外国語学部に合格したのに。のにのにのに。本当は言いたい事がたくさんあったのですが、僕はジッとこらえてKくんに語り掛けました。
「とりあえずお前は歯学部で勉強しておいで。歯学部を卒業した後になってもまだお前にやりたいことがあるんなら、そっからでもその夢を追っかければいいよ。年齢で諦めなければ、その夢は絶対に叶う。し、叶えろ。」と。
Kくんは僕の目をジッと見つめて聞いていました。
するとお母さんが「先生(僕)のおっしゃっているのはKが教員になりたいといっていることですよね。私たち両親もそのことは充分に理解しています。Kも歯学部ではなく教員を目指したくて勉強を一生懸命がんばったのも分かっています。でもこの子の将来と我が家の将来を考えると、やっぱり歯科医師の道を目指してほしいんです。」っとおっしゃいました。僕とKはジーッと目を合わせていました。言葉はありませんでした。僕は言いました。「K、見てろ。オレもうすぐ40んなるけど、オレ教員免許取りに今から大学に通うわ。オレが何才からでも何にでもなれるって、お前に見せてやるわ。だからお前は今は歯学部行っとけ。先生はそっからでも充分になれるって、オレが証明してやっから。」
Kはうなずきました。で、僕はもう後戻りできなくなっちゃいましたw
その春、僕は20年振りに母校で再び教職の勉強を始めたのでした。
自分の母親には「あの時(現役の時)やっていればねぇ」なんて言われますが、僕は今この歳になってやっていることにとても意味があるのだと思います。
まず大学での勉強がメチャクチャ面白い!20才かそこらだったらこの勉強が果たしてこんなに面白いと感じられただろうか。面白いと感じたから、とても身になりました。実際に去年大学で学んだことは、今の自分の仕事にかなり役に立っています。なのにこんな面白い授業にも係らず周りはやっぱり寝てる…。おっさん「おいおい君たち」と声を掛けたくなるくらい。でも自分が彼らの年齢だったら、やっぱりきっと眠ってるんだろうな。今の自分にこの勉強が面白いと思えるのは、きっと自分に「経験」という知識が備わったからなんだろうな。だから今が僕にとってはやり時なんです。だから今この年齢になってやっていることにとても意味があるんです。
大学で学んだことは僕に大きなインパクトを与えました。学校のシステムが悪い、とか教育システムをひっくり返さなきゃいけないんじゃないかなんて何も知らずに口にしてしまっていたような面が昔の自分にはあったと思うのですが、大学でいろいろ勉強してみると、日本の教育システムは思っていたよりも画一的ではないし、望めばいろいろな道があると分かりました。実際僕なんかも40歳で教員免許を取得しようとしている。お金と時間の工面さえできれば、結構いろいろできるんです。だから日本の教育の問題は、システムの問題じゃないと思ったんですね。システムの問題ではなくて運用の仕方の問題なんだと思います。ルールの問題ではなくて考え方の問題だったんです。ほとんどの学校は(特に公立学校は)偏差値教育や大学進学実績なんかで勝負していないです。ちゃんと人間教育を目指しているんですよ。偏差値での成績の序列や大学進学実績なんかを煽っているのは、実は塾の業界かもしれません。そしてそれに見事に踊らされているのは僕たち。僕は頭の中をゴーーンと叩かれたような気持ちでしたよ。
そして面白い大学での勉強の結果、現役のときには見たことのない素晴らしい成績を各先生方にはいただきました。とてもありがたかったし、なによりうれしかったw
そして今年、教育実習に行ったら教員免許取得に必要な単位が揃うのでした。
3週間の教育実習。長いんだろうなー。教育実習生なんて大学生ばっかりで、自分みたいなおっさんはいないんだろうなー。こんなおっさんの言う事、生徒のみんなは聞いてくれるのかなー。こんな自分勝手に生きてきた自分を、先生という人種の人たちは受け入れてくれないだろうなー。生徒たちより先生たちに相手にされなかったら3週間耐えられないかもなー。いろいろな不安が頭の中でグルグル巡りました。
教育実習の内容はいろいろ守秘義務なんかもあるので細かく書くのは自重しますが、上記のような心配はなーーーーんにも必要ありませんでした。僕以外の実習生はやっぱり大学生ばっかりだったけど、みんないい人たちばかりで、よく僕のいる部屋まで話をしに来てくれました。実習生同士の情報交換は、かなり安心するものでした。おっさんであることは、自分の元気さで揉み消しましたw生徒もさすが我が母校。いい子ばっかりで、とっても仲良く接してくれました。本当にお世辞ヌキでいい生徒たちでした。先生たちもこんなアウトローな僕をとても温かく迎え入れてくれました。世界中でいろいろなことを経験してきた僕ですが、教育実習はそんな僕の人生の中でもTOP5に入るサイコーの経験となりました。本当に緊張もしたし、本当に不安でもあったけど、多くの人の支えのおかげですべて乗り越えられ、たっくさんのことを学び吸収することができ、それはすべて自信となりました。
最初の1週間が終わったときは、緊張から解き放たれてヘトヘトになりながらも「やれるかも」と思いました。
2週目が終わったときには、「学校って楽しい!」と思いました。
そして最後の週が終わったときには「まだ終わりたくない」と思うほどになっていました。
こう考えると、きっかけは単純だったかもしれないんですが、勉強を重ねるたび、経験を重ねるたびに、あんなに反抗した学校が好きになっていったし、あんなにつっかかっていった先生が好きになっていったのです。
正直僕は今、学校の先生になりたくなってます!グレートティーチャーになんかなれなくていい。金八になれなくてもいい。でもいつまでも続くと思っていたあの限られた3年間という時間の中で、思い出がギューッと詰まる生徒たちの高校生活の1ページに登場する先生、あえて愛情を込めて言うと「センコー」に、なれたらいいな。とりあえず非常勤の講師から始められるように今のところ活動ちうです。関係者の皆さま、どなたかこれを読まれたらぜひご連絡ください。自分で言っっちゃいますが、僕は即戦力だと思いますよ。
ま、そんなこんなで教育実習を無事に終えたお話でした。